遺産分割をきっかけに、親族間でトラブルが発生するという話は決して他人事ではありません。
相続開始前は仲の良かった親族同士でも、ちょっとした意見の食い違いをきっかけに関係を修復するのが困難になってしまった…というケースも多々あります。
トラブル要因の一つは、遺産の内容が不透明であるもしくは明かされないことです。
こちらのページでは「遺産の全容がわからないことによって起こった相続におけるトラブル例」をご紹介します。
トラブルの原因を知ることはご自身の相続においてもめ事の対策となりますので、ご参考にしてみてください。
1.財産調査をきちんと行わないまま、遺産分割を進めてしまう
相続開始後にかならず行うべきことのひとつが財産調査です。
被相続人が所有していた財産の全容を把握できないと、きちんと遺産分割の話し合いができません。
財産調査を行わないまま、とりあえず発見された通帳や権利書を基に遺産分割協議を行うと、協議完了後に別の財産が見つかったり、はたまた借金が発覚したりすることがあります。
そのような財産が発見されると、その財産について再度遺産分割協議をしなければなりません。故意でなくても「遺産の存在を隠したかったのではないだろうか」と他の相続人に疑われる場合もあります。
必ず遺産分割協議前に財産調査を正確に行い、根拠資料を相続人全員が確認したうえで、話し合いを行いましょう。
2.特定の相続人が相続財産の隠蔽してしまう
悪質なケースになると、特定の一人が被相続人の財産を隠蔽し、遺産の存在を他の相続人に明かさず自分のものとしてしまう場合もあります。
また、被相続人と同居していた家族に多いのですが、故意ではないものの生前から被相続人の財産を管理してきた経緯より自分の財産と混同してしまったというケースもあるでしょう。
これらの場合、隠蔽している相続人が話し合いにいつまでも応じない、もしくは一方的に遺産分割協議書が送付され、署名・押印が求められるといったことが考えられます。
相続人は財産調査を行う権限があります
相続人であれば、存在が不明であっても被相続人の財産を金融機関等に問い合わせて調べることができます。
遺産分割協議を行う際には、必ず残高証明書や土地の登記簿といった根拠資料に目を通し、財産内容のすべてを把握しておきましょう。
また、自分が相続手続きのまとめ役である場合は、調査結果をきちんと財産目録にまとめ、遺産分割協議の前に根拠資料とともに相続人全員に提示します。
他の相続人から不信とされるような行動を避けることが、トラブル回避のためには重要です。